宗教法人の税務をサポート

宗教法人も源泉徴収義務者となります。

その代表役員(住職、宮司等)や職員等に給与や退職手当を支払う場合、あるいは税理士等の報酬・料金、講演料等を支払う場合には、源泉徴収義務者として、その支払の際に、所定の所得税及び復興特別所得税を源泉徴収して納付する必要があります。

個人の家計と宗教法人の会計とは明確に区分する必要があります。

宗教法人の会計処理を正しく行うため、次の事項に注意して、常日頃から宗教法人の収支と住職等個人の収支を明確に区分しておくことが必要です。
 そのため、住職等の給与については、あらかじめ適正な金額を定め毎月一定の日に支給するのが望ましいと思われます。

  1. 宗教活動に伴う収入や宗教法人の資産から生ずる収入は、全て宗教法人の収入となります。
    したがって、布施、奉納金、会費、献金、賽銭、寄附金、雑収入等は全て宗教法人の収入として宗教法人の会計帳簿に正しく記載する必要があります。

  2. 宗教活動に伴う支出や宗教法人の資産の維持、管理に要する支出は、全て宗教法人の支出なります。
    そのうち、住職や宮司、職員等に対する給与については、その支払の際に所得税及び復興特別所得税の源泉徴収を行うこととなります。この給与には、金銭で支払われる給料や賞与のほか、後で述べるいわゆる現物給与も含まれます。
    なお、宗教法人の収入として計上すべきものを住職等個人が費消した場合には、宗教法人から住職等に対して給与の支払があったものとされます。

  3. 財産についても、宗教法人のものと住職等個人のものとを明確に区分しておくことが必要です。

宗教法人が収益事業を行う場合には、法人税の納税義務があります。

株式会社のように営利を目的として設立された法人は各事業年度の全ての所得に対して法人税が課税されますが、宗教法人のように公益を目的として設立された公益法人等については、収益事業を行う場合に、その収益事業から生じた所得に対してのみ法人税が課税されます。

宗教法人も消費税及び地方消費税の納税義務があります。

1 納税義務者

国内で課税資産の譲渡等を行った事業者は、納税義務者になります。したがって、宗教法人も免税事業者(基準期間(前々事業年度)の課税売上高が1,000万円以下の宗教法人)に該当する場合を除き、課税資産の譲渡等を行えば納税義務を負うことになります。

2 課税対象

消費税の課税関係について例を挙げれば、次のようになります。

  1. 消費税の課税対象となるかどうかの判断基準は、その事業が収益事業となるかどうかの区分によるのではなく、原則として事業として行われる行為が対価性のある資産の譲渡などに当たるかどうかで判断されます。例えば、寄附や贈与で金品を受領するような場合には、相手方に対して資産の譲渡、資産の貸付け又は役務の提供を行い、その反対給付として金品を受領するものではありませんから、消費税の課税対象とはなりません。

(注) 

  1. 不課税とはそのものの性質上消費税の課税の対象とならないものをいい、非課税とは本来的には消費税の課税の対象となるものですが社会政策的見地等から課税されないものをいいます。
  2. イ、ロ、チ、カについては、原則として不課税です。
  3. ハの「線香、ろうそく、供花」の販売のうち、参詣に当たって神前・仏前等に献げるために下賜するものの頒布は不課税です。
  4. 上記事業のうち不課税となる事業収入は、特定収入に該当します。